結論から言えば、2026年の事業会社のIT予算は「維持費を積み上げる予算」から「AIで利益率を変える予算」へ組み替えるべきです。サーバー、SaaS、保守契約を増やすだけでは、現場の工数削減にも経営判断の高速化にもつながりにくい。重要なのは、既存ITを棚卸しし、AI投資へ回す原資を先に設計することです。
あわせて読みたい: 関連する判断軸は、DXに2,000万円使って何も残らない事業会社の共通点でも整理しています。
IT予算の前提が変わった理由 — クラウド完了からAI再投資へ
多くの事業会社では、2018年から2024年にかけて基幹システムのクラウド移行、オンライン会議、電子契約、SaaS導入が一巡しました。その結果、月額費用は増えた一方で、会計、受発注、問い合わせ対応などの業務時間は思ったほど減っていない、という声が増えています。クラウド化は「どこでも使える状態」を作る投資であり、AI投資は「人が判断や作業に使う時間を減らす」投資です。ここを同じDX予算で扱うと、配分を誤ります。例えば、年間IT予算が1.2億円の企業なら、既存保守とライセンスに9,000万円を固定し続けるのではなく、15〜25%をAI活用設計、データ整備、業務再設計へ振り向ける余地があります。コアネストはこう見る、AI予算はツール購入費ではなく「業務の設計変更費」として置くべきです。ITコンサルはその配分表を作る役割を担います。
あわせて読みたい: 実装面のつまずきは、AIコンサルに2,000万円を払う前に、確認すべき3つのことをあわせて読むと把握しやすくなります。
2026年版 配分の新基準: 削る項目と増やす項目
削る候補は、利用率の低いSaaS、重複した分析ツール、月次報告のためだけに残る手作業の連携費です。従業員300名規模でも、部署ごとに契約したSaaSが40以上あり、実利用が月1回未満のアカウントが2割あるケースは珍しくありません。1IDあたり月2,000円でも、200IDの休眠があれば年間480万円です。増やすべき項目は、AI導入の前工程です。データの所在確認、権限設計、業務フローの分解、効果測定の仕組みに予算を置きます。RAGとは、社内文書を参照してAIが回答する仕組みのことです。ただし、RAGを入れるだけでは成果は出にくく、どの部署のどの質問を減らすのかを先に決める必要があります。目安として、IT予算の5%を棚卸し、10%をAI業務設計、10%を試験導入と教育に分けると、投資判断が曖昧になりにくい。Claude研修やAI BPOは有効ですが、本記事の中心は、その前に経営と現場の優先順位を決めるITコンサルです。
あわせて読みたい: 費用対効果を検討する際は、生成AI導入で本当に儲かる事業会社の3つの条件も参考になります。
投資配分を間違える典型パターン3つ
第一に、AIツール費を先に決めるパターンです。月額30万円の生成AI基盤を契約しても、対象業務が定義されていなければ、利用は資料作成や要約に偏り、年間360万円の効果説明が難しくなります。第二に、情報システム部だけで配分を決めるパターンです。AIで削減できる工数は、営業事務、品質管理、購買、経理など現場側にあります。第三に、セキュリティ懸念で全てを止めるパターンです。反対論点として、情報漏えい、誤回答、社内抵抗は軽視できません。しかし、禁止に寄せすぎると、社員が個人アカウントで試すリスクが残ります。年商132億円の産業用資材卸F社では、見積回答に月420時間を使っていました。最初から全社AI化せず、商品マスタ、過去見積、承認ルールを3か月で整理し、20名の営業事務に限定して検証。回答草案作成をAI化した結果、確認込みで工数を約28%削減でき、次年度予算では保守費の一部をデータ整備へ移しました。
事業会社がいま意思決定すべき順序
意思決定の順序は、ツール選定ではなく、予算の地図作りからです。まず30日でIT支出を「守る費用」「減らす費用」「増やす費用」に分けます。守る費用は基幹、セキュリティ、法対応。減らす費用は低利用SaaS、重複開発、属人的なレポート作成。増やす費用はAIで月50時間以上の削減が見込める業務、教育、データ統制です。次に60日で2〜3業務に絞り、削減工数、品質、リスクを測ります。PoCとは、本格導入前に小さく試して効果を測る検証のことです。90日目には、継続、停止、拡張を決める会議体を置きます。このときITコンサルが入る価値は、ベンダー比較だけではありません。経営目標と現場工数を同じ表に置き、AI BPOへ外出しする領域、社内でClaude研修により育てる領域、システム改修すべき領域を分けることです。配分の議論ができると、AI投資は流行対応ではなく利益計画に近づきます。
2026年のAI投資で大切なのは、派手な導入事例を追うことではなく、自社のIT予算の中に眠る再配分余地を見つけることです。削る判断には現場の納得が必要で、増やす判断には効果測定が必要です。コアネストのITコンサルでは、現行コスト、業務工数、AI適用余地を整理し、無理のない投資順序を設計します。自社の配分を見直したい場合は、まず無料診断(/diagnosis)で現状を確認してみてください。
関連記事
- DXに2,000万円使って何も残らない事業会社の共通点 — 事業会社がDXに投じる年間予算は平均2,000万円。3年で6,000万円。にもかかわらず7割が成果を実感していない。失敗企業に共通する3つの構造的問題を解説。
- AIコンサルに2,000万円を払う前に、確認すべき3つのこと — AI導入コンサルの相場は年間1,000〜3,000万円。しかし高額なコンサル費を払ったにもかかわらず、成果が出ない事業会社が後を絶たない。契約前に確認すべき3つの判断軸を解説。
- 生成AI導入で本当に儲かる事業会社の3つの条件 — 生成AI導入企業の6割以上がROIを実感できていない。本当に儲かる事業会社には共通する3つの条件がある。投資対効果を最大化する業務設計と経営判断の要点を解説。
- Claude Codeで業務を月200時間削減した、事業会社の実装5パターン — Claude Codeを業務自動化に活用し、月200時間の工数削減を達成した事業会社が実装した5つの業務自動化パターンを、具体的なユースケースと設計ポイントとともに解説。




